第359回愛媛県議会定例会一般質問(平成30年9月)

問1 本県農業の維持、発展に向け、意欲ある担い手の確保・育成や集落営農の推進にどのように取り組んでいくのか。
【農林水産部長答弁】
  本県の農業産出額は、平成26年度を底として上昇基調に転換したものの、人口減少や高齢化の進展等に伴う担い手の減少に歯止めはかかっておらず、荒廃農地の増加も懸念される状況の中で、営農活動を担う人や組織の確保・育成は、愛媛農業の将来を左右する最重要課題と認識。
  このため県では、「新たな担い手の確保」、「認定農業者の経営発展」、「集落営農組織の育成」の3つを担い手対策の柱に据え、昨年度から、新規就農者の確保や育成活動に前向きに取り組むJA等を強力に支援することで、この2年間に47名の研修生を育成しているほか、今年度新たに、認定農業者が規模拡大に必要な機械・施設を導入する際、拡大面積に応じて補助率を優遇する支援制度の創設や、農業経営サポートセンターの設置による集落営農の組織化・法人化の促進など、意欲や成果を重視した「攻め」の支援策を積極的に展開しているところである。
  さらに、全農えひめとの人事交流により担い手サポートセンターに県職員を配置し、JAグループと一体となった推進体制も構築したことで、地域JAの研修体制強化や首都圏での就農相談会の開催など新たな施策にも着手しており、愛媛農業の魅力向上と情報発信を図りながら、関係者一丸となった担い手対策を進めて参りたいと考えている。

問2 今回のような豪雨災害に備え、ため池の防災・減災対策に今後どのように取り組んでいくのか。
【農林水産部長答弁】
  今回の豪雨では、被災ため池の約1/3に当たる68か所で、堤体や洪水吐、取水施設等が損傷するなどの被害が発生したほか、被災後に2,779か所を対象に実施した緊急点検の結果、被災ため池以外にも67か所で堤体等の応急措置が必要とされ、ブルーシートの敷設や低水位管理等による監視強化が求められるなど、これまでにない大きな被害規模となり、取水困難となった下流域では営農活動に支障が出るなど、地域農業も打撃を被ったところである。
  ため池の老朽化対策は、これまであらゆる被災リスクを一挙に解消できる全面改修を基本に取り組んでおり、長い工期と多額の事業費を要しているが、今回の被災が洪水吐や堤体の部分崩壊などの局所的なものが多かった状況を鑑みれば、部分的な補修・補強でも、決壊リスクの低減など一定の防災効果が期待できると考えられることから、今後は全面改修に限らない柔軟で効率的な対策を、スピード感を持って講じていく必要があるとの認識を強くしているところである。
  このため県では、地域の実情に応じ部分改修や補強策など幅広い視点からの対策を検討し、提案することで、合理的な改修整備を進めていきたいと考えており、ハザードマップの作成・周知への支援などソフト対策と合わせ、総合的な防災・減災対策を迅速に進めて参りたいと考えている。

問3 再生可能エネルギーの導入促進に向け、地域との共生や住民の安全・安心確保にどう取り組んでいくのか。
【県民環境部長答弁】
  再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減等の観点から積極的な導入が求められる一方で、FIT制度の開始による太陽光や風力発電等の急速な普及を背景に、全国的に環境面や防災面での懸念が顕在化しており、今後の導入にあたっては、住民の理解や環境との調和に十分に配慮しながら進めていく必要があると考えている。
  これまで県では、発電施設の設置に際し、森林法や農地法の許可手続等を通じて、事業者に対する環境保全や災害防止面での指導を行っているところであるが、昨年4月のFIT法の改正により、国が施設の保守管理や廃棄など計画全体を審査し、既設の施設も含めて安全管理等に問題がある場合、改善命令や認定取消を行う仕組みが導入されたことから、悪質な事例については、県としても市町と連携し、積極的に国に情報提供を行い改善につなげたいと考えている。
  また、全国知事会を通じて、一定規模以上の発電設備を設置する事業者に対する地域住民への事前説明の義務付けや、事業計画への地元自治体の意見の反映などを国に要望した結果、本年8月に環境影響評価制度の拡充に向けた有識者の検討が開始されたところであり、今後とも、国に対し、地域社会との共生に向けた実効性のある対策が早期に講じられるよう働きかけてまいりたいと考えている。

問4 障害者雇用率の算定誤りについて、県における現在の対応状況はどうか。また、法定雇用率の達成に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。
【総務部長答弁】
  この度の障害者雇用率の不適切な算定により、障がい者の皆様を始め、県民の信頼を大きく損なうこととなったことを、大変申し訳なく、改めて深くお詫びを申し上げる。
 県では、既に厚生労働省のガイドラインに基づいた適正な方法により、全職員を対象にプライバシーに配慮しながら障がい者手帳の保有状況を確認するなど、慎重に再点検を実施しているところであり、今月中には結果をとりまとめ、平成29年度及び30年度の障害者雇用状況の報告数値を修正し厚生労働省に提出することとしている。
 障がい者雇用については、これまで、平成17年度から臨時職員、平成25年度から正規職員の採用試験に、身体障がい者採用枠を設け、過去5年間では毎年5人程度の採用実績を挙げてきたが、再点検により法定雇用率を下回ることが見込まれることから、障がいのある方々の更なる雇用拡大に向けた検討に着手しており、今後は国や他自治体の取組等も参考に、障がい者が勤務しやすい職場環境の整備に取り組むとともに、業務の洗い出しや雇用形態の多様化などを進め、障がい者の活躍の場を拡大することにより、できるだけ早期に法定雇用率を充足できるよう努力して参りたいと考えている。

問5 松山~札幌線の利用状況はどうか。また、冬場に向けた利用促進にどのように取り組んでいくのか。
【知事答弁】
  約6年半ぶりに復活した松山~札幌線は、就航前から航空会社等と連携して、県内での路線開設の周知や北海道での観光PRを積極的に展開したこともあり、3月末の就航から8月末までの搭乗率は、目標とした75%を上回り、84.6%と好調に推移しているところである。
  こうした中、相次ぐ自然災害により、愛媛、北海道とも観光客が落ち込んでいるが、松山~札幌線を定着させるためには、観光分野での相互交流の拡大が鍵であり、特に冬場は、北海道でのスキーや本県でのゴルフなど、両地域の気候の違いを活かした魅力的な観光資源を積極的にPRし、利用促進を図ることが重要ではないかと考えている。
  このため、8月末に伊予観光大使のみかんさんと北海道庁等で観光プロモーションを実施し、温暖な気候や柑橘をはじめとする豊かな食など愛媛の魅力をアピールするとともに、旅行会社へトップセールスを行ってきたところである。
 また、年末から2月にかけては、県内の需要喚起を図るため、北海道観光振興機構と共同して、県内のテレビやラジオで冬の北海道の魅力をPRする番組を放送することとしている。
  今後とも、四国で唯一の直行便の優位性を活かしつつ、愛媛DMOなど関係機関と緊密に連携しながら、両地域の観光地としての魅力をPRして、県民の利用拡大や北海道からの持続的な観光客誘致につなげるとともに、全国に誇る本県ブランド産品の販路拡大など経済交流も深めながら、一層の利用促進に取り組んでいきたいと思う。

問6 本県への移住者が年々増加する中、更なる移住・定住の促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか。
【企画振興部長答弁】
  本県では、県外からの移住促進に向けて、平成27年度から積極的な情報発信や切れ目のない相談体制などの取組みを強化してきた結果、昨年度の移住者数は初めて1000人を超えるとともに、地方への移住を支援する「ふるさと回帰支援センター」の移住希望地域ランキングでも過去最高の全国11位となるなど、確かな手応えを感じているところである。
  全国各地で移住者の誘致が活発化する中、本県への新たな人の流れを加速させるためには、本県独自の訴求力の高い移住施策の推進が重要なことから、6月に東京で開催した「あのこの愛媛移住フェア」では、求人募集中の地元企業も参加して、移住後の仕事の相談に応じるとともに、先輩移住者や地域おこし協力隊が経験談を紹介したほか、今月から新たに、女性の移住希望者をターゲットに絞り「愛顔のひめターン」プロモーションを開始しており、首都圏のFMラジオ局の番組内で移住体験者を公募して生の声を伝えるなど、実体験を踏まえた愛媛暮らしの魅力を発信したいと考えている。
  今後とも、本県が移住先として一人でも多くの方々に選ばれるよう、市町や移住コンシェルジュに加えて、先輩移住者や地域おこし協力隊とも緊密に連携しながら、オール愛媛の体制で、重層的かつ戦略的な移住・定住施策を展開して参りたいと考えている。

問7 「サイクリングしまなみ2018」の準備状況はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。
【知事答弁】
  「サイクリングしまなみ」は、回を重ねるごとに知名度が向上し、今大会も総応募者数が1万人を上回り、人気コースは抽選倍率が3倍を超えるなど、多くのサイクリストが憧れる日本屈指の大会に育ってきており、現在、安全でおもてなしあふれる大会運営と海外誘客の強化に重点を置き準備を進めている。
  大会運営では、最大の課題である高速道路本線での安全対策等の調整が概ね終了したほか、地元市町により、エイドステーションにおけるボランティアの確保や地元食材を活かしたメニュー作りなどの準備が進んでいるところである。さらに、大会前日の受付会場及び当日のフィニッシュ会場で開催されるサイクリングイベントでは、両県の観光や地元特産品等のPRにも取り組んでいきたいと考えている。
  また、海外誘客の強化では、26の国と地域から4年前の大会を大幅に上回る約770人にエントリーをいただいたほか、今回初めての取組みとして、大会前日に「しまなみサイクリングサミット」を開催し、著名なサイクリング大会を主催する国内外の28団体が一堂に会し、サイクリングの新たな魅力の創造に向けた「しまなみ宣言」を採択することとしており、サイクリングをテーマとした世界規模の交流が、愛媛から世界に向けて発信されることに大きな期待を寄せている。
  7月の豪雨災害により大会コースにも被害が発生したが、現在は通行可能となった。今後も関係機関等と連携を密にしながら、大会を成功に導くとともに、本県のサイクリングの魅力を強力に発信することにより、観光振興や地域活性化に繋げていきたいと思う。