(獣医学部規制緩和に関する部分を抜粋)
本宮勇議員 質問

次に、獣医師不足について質問をさせていただきます。
 今、医師不足が大変大きな問題となっておりますが、獣医師の分野においても同様の問題を抱えていると言われております。特に近年のペットブームなどにより、若い獣医師はペットのお医者さん志向が高く、過酷な労働状況にある産業動物診療獣医師や公務員獣医師は敬遠されがちで、それぞれの分野で不足している状況にあると聞いております。
 昨年12月13日、NHK名古屋放送局が「家畜の獣医師が足りない」という特集番組を放映いたしました。その中で、家畜の獣医師の仕事として大きく三つに分かれており、1点目は家畜の健康を守る、2点目は食肉の安全を守る、3点目は人間の健康を守るなどの役割を果たしている状況が紹介されていました。
 また、我々の食の安全を守ってくれているのも獣医師であります。BSE検査や鳥インフルエンザ対策などのほか、相次ぐ食品異物混入事件への対応まで獣医師がその役割を担っております。特に、産業動物診療獣医師は、過酷な労働条件の上に待遇面でも小動物を診療する開業獣医師よりはるかに悪い状況にあり、なり手が少ない原因となっているとのことであります。
 また、公務員獣医師の確保も困難をきわめていると聞いております。都道府県で働く獣医師の職員について毎日新聞社が全国調査を行ったところ、定員割れをするなど、人材の確保の困難さを訴える自治体が全体の47%と半数近くに上っております。
 都道府県で働く獣医師職員は約6,600人、半数余りが食品安全や狂犬病予防など公衆衛生部門、4割強が家畜を扱う畜産部門、残りが動物園などでの仕事についています。獣医師職の定員枠や必要数は34道府県が設定し、うち21道県が定員割れの状態であり、特に欠員が多いのは、北海道92人、岐阜24人、山口20人の順で、定員設定がない県でも実際には充足していない、この10年で欠員状態が悪化したというような結果が出ております。
 そこで、お伺いをいたします。
 県では、産業動物診療獣医師の不足の問題をどのように認識しておられるのでしょうか。あわせて、公務員獣医師の確保の現状と対策についても、お伺いをいたします。
 次に、このことに関連をして、本県と今治市が共同で取り組もうとしている獣医師養成系大学の設置についてお伺いをいたします。
 獣医師養成系大学の設置は、昭和41年の北里大学を最後に40年以上、新増設がなされていないことは、皆さん御承知のとおりであります。また、大学の獣医学部の定員は全国で930人、うち西日本には国公立大学の165人しか割り当てがなく、東西の偏在が非常に大きい上に、四国には一つも獣医学部がありません。
 そのようなことから、本県と今治市では、獣医師の確保と地域再生のために、獣医学教育を行う大学獣医学部の設置の許可を求め、国に対して、構造改革特区提案を平成19年11月からこの2年間の間に5回も行っており、これまでの加戸知事の文部科学省や農林水産省への要望活動等に対する熱心な取り組みには、頭の下がる思いがいたしております。
 さらに、昨年6月には、加戸知事の呼びかけにより四国4県知事の連名による獣医師の確保対策に関する緊急要望をされたと聞いておりますが、こうした知事の取り組み効果で、先ほど述べたとおり、NHKの番組として取り上げられるなど、徐々に全国的な問題として認識されてきているのではないかと思われます。
 こうした中、この獣医師養成に関連した問題がことし1月27日の参議院予算委員会でも取り上げられ、赤松農林水産大臣は、ますます産業動物獣医師が不足していく見通しであり、計画的な養成についての特段の配慮を文部科学省にお願いしている旨の答弁をされております。
 また、先ほど述べたNHKの番組の中で、日本学術会議副会長で東京大学名誉教授でもある唐木英明氏は、日本に獣医学部1校ぐらいつくる余裕は十分にあるし、我が国の大学獣医学の教育レベルは、世界的に見て極めて低い状況にあると述べていますが、この特区提案では、国内のどこの大学もクリアしていない世界水準の教育を行う大学をつくるとした内容を明記していると聞いております。
 即戦力となる獣医師を養成し、将来の四国ブロックにおける獣医師不足を解消することができるこの特区提案が認められれば、大学を核とした地域への食品産業や製薬、動物関連企業等の立地を促進することで、地域再生を果たせると思うのであります。なぜこの提案を国が認めないかと不思議に思うのであります。
 加戸知事がNHKの番組取材に対して述べられているように、既得権益への配慮のためなのでしょうか。ちなみに、日本獣医師会などが先頭に立って反対の立場をとっているのは、周知の事実であります。
 そこで、お伺いをいたします。
 獣医師養成系大学の設置に関するこれまでの取り組みはどうか。また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

平成22年 第316回定例会(3月9日) 
高浜壮一郎副知事 答弁

本宮議員にお答えします。
 獣医師不足について、獣医師養成系大学の設置に関するこれまでの取り組みはどうか。また、今後どのように取り組むのかとのお尋ねでした。
 今治新都市への獣医師養成系大学の設置につきましては、四国地域における獣医師の安定確保、若者の県外流出の防止、さらには今治地域の活性化などを目指すものでありまして、従来から規制をされております獣医学部の新設を地域限定で認めるよう、平成19年11月から、これまで5回にわたって、県と今治市が共同で構造改革特区提案を行ってきたところでございます。
 この特区提案に当たりましては、四国に獣医学部がないのは明らかに地域偏在であり、教育の機会均等を失していること、鳥インフルエンザなど人獣共通感染症に対応した世界水準の教育を提供することなどを主眼に提案を続けてきましたが、残念ながら、いずれも特区として対応不可との回答で認められなかったのであります。こうした国の回答に対し、本宮議員お話のとおり、知事を先頭にさまざまな機会をとらえて何度となく国に足を運び、粘り強く要望を行ってきたところでございます。
 このたび、国会で獣医師不足問題が取り上げられたこともございまして、昨年11月の5回目の特区提案に対する文部科学省の最終回答では、その区分が従来の特区として対応不可から、提案の実現に向けて対応を検討に変更され、6月を目途に取りまとめられます国の新成長戦略を検討する中で、獣医師養成のあり方についても新たな視点から対応を検討することが示されておりまして、ある程度踏み込んだ内容になっております。
 県としましては、当面6月までの検討状況を注視する必要がありますが、現時点ではどういう方向に進むのかまだまだ不透明でありますため、今後も引き続き特区提案を行い、獣医師養成系大学の設置が実現するよう強く訴えてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

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